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保護色で暮らす

地味目な社会人の日常 ー食と旅ー

『星守る犬』を読んだ

村上たかし著『星守る犬』を読んだ。

数年前に映画化された際に、本の存在を知り読んでみたいと思っていた。

そのまま読まないままになっていたが、先日図書館で見つけて借りてきたのだ。

 

この本、破壊力がすごい…

2ページ目、冒頭のシーンで早くもウルリ。

あ、こういう話だったんだ…

本の存在を知ってはいたものの、話の内容は全く知らなかったためこの段階で既に個人的クライマックスに到達。

 

一回、心を落ち着かせねば…と思い本を閉じる。

一面のひまわりと犬の表紙…

裏返して、裏表紙も見てみる。

一面のひまわりと朽ちた自動車…

ウルリ。

ひまわりと犬というこの上もなく牧歌的な風景の中にある朽ちた自動車が切なすぎる。

だ、だめだ…。もう表紙を見るだけで涙が出てくる。

 

それでも私はこの本を読まんといかんのです!と強い意志を持って読み始める。

しかし、結末を知っているだけにどの場面を読んでいてもただただ切なく、悲しい。

常にウルウル。

少し休まねば心がもたん!と本を閉じ、例の表紙が目に入ってまたウルウル。

この本には逃げ場がない。

 

それでもなんとか必死の思いで本を読み終えた。

初読の段階では、心が完全にもっていかれてしまい何も考えられない。

しかし、何度か読んでいると冷静になってきていろいろなことに気が付く。

 

旅の序盤、おとうさんがサングラスを買ってくる。

旅の間ずっとかけているこのサングラスのせいでおとうさんの表情はよくわからない。

おとうさんはサングラスの下に悲しみを押し殺してずっと生きていたんだな。

ウルウル。

 

それから、おとうさんの服。

家族とのエピソードが描かれる物語の序盤では、いつも縞模様のシャツを着ているおとうさん。

しかし、家族と離れてからは1度もその服を着ていない。しかも、財布泥棒の男の子にその服を貸してあげたまま逃げられてしまう。

多分、あの服は家族との思い出を象徴しているんだろう。その思い出にまで逃げられてしまったということなんだろう。本当の孤独。

ウルウル。

 

でも、このおとうさんの人生はただ悲しいだけのものではなかったとサイドストーリーは示唆する。

愛犬ハッピーと過ごしたその時間は『混じり物の無い純粋な結晶のような時間』だったのではないか、と。

それは絶対に正しい。

だからこそ愛犬の名前が『ハッピー』だったのだろう。

ハッピーという幸せは常におとうさんと一緒にいたのだ。

 

本当に丁寧に作り込まれたすばらしい漫画だった。

絶対に教科書に載せるべき!マンガだけど。