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保護色で暮らす

地味目な社会人の日常 ー食と旅ー

歩道に大福

考える

母と買い物に行った。スーパー入り口の歩道に手のひらに載るくらいの白くて丸い物が落ちていた。私はピルケースか何かだと思ったが、同行の母は「あれは大福だった」と言う。店内でそれとなく大福を探してみたが、それらしき大福はなかった。サイズが小さかったり、よもぎ大福だったり。固くて冷たいアスファルトの上にぽてんと転がっていたあの子はいない。

 

スーパーを出る時にもう1度見てみたら、やはりそれは大福だった。

雪見だいふくだったらしく、中のアイスクリームが溶けてびろりと伸びていた。

 

これを買ったのはどんな人だったんだろう。大人だろうか、子どもだろうか。男性だろうか、女性だろうか。

スーパーで買ってすぐに食べようと寒空の下、取り出したはいいが、ぽとりと落としてしまったのだろう。よく冷えている雪見だいふくは固くて楊枝が刺さりにくいから。

かわいそうな雪見だいふくとかわいそうな購入者。

雪見だいふくは2つしか入っていないのだから1つ落としたら半分の損失ではないか。

 

「落としちゃったらやっぱり食べないよね」

「お母さんならスーパーのトイレで洗って食べそうじゃん」

雪見だいふくなんか洗ったらべちょべちょになっちゃうよ」

母と話しながら、『雪見だいふくを落とした場合の正しい行動』を真剣に考える。 

 

ふと名案を思い付いた。

 

・中身のアイスクリームのみ食べる

 

地面と接しているのは外側のもち部分だけなので中のアイスは無事だから、というのがその理由。

 

寒くて暗い冬の夜道にひとりぼっちで置き去りにされていた雪見だいふくの姿があまりにも切なかったので、なんとか救ってあげられないかと考えた末の迷案である。

蟻とか野良猫(猫が雪見だいふくなんか食べてよいのかは知らない、多分だめだろう。)の腹の肥やしにでもなれば、あの雪見だいふくちゃんも報われることだろう。そうなることを心から祈っている。