保護色で暮らす

地味目な社会人の日常 ー食と旅ー

『夫のちんぽが入らない』を買った

発売日の今日、『夫のちんぽが入らない』を買った。

今は亡き雨宮まみ氏のツイッタ―でこの本の存在を知ったのはだいぶ前のこと。それから今日まで、著者こだまさんのツイッタ―やブログを読んで気を紛らしながら、この本を手にする日を首を長くして待っていた。

発売日前に既に店頭に並んでいる書店も多いようだったので、昨日は仕事帰りに嬉々として近所のTSUTAYAに寄ったのだが、まさかの取り扱いなし。やはりTSUTAYATSUTAYAでしかなく、決して本屋ではないのだと痛感した。どうせ世間一般的に話題になってきた頃に、流行をちゃんとキャッチしてます的な顔で平然と平積みし始めるんだろうよ。その時、軽蔑のまなざしをくべてやるんだと心に決めた。

 

昨日の結果を踏まえ、発売日の今日はちゃんとしたいわゆる『書店』に行くことにした。見つけるまで帰らない覚悟だったが、職場の最寄駅内の書店にて無事、発見。『アメトークで紹介された本コーナー』の横に平積みされていた。出版社が作ったびよんと伸びるポップには『全国の書店員さんが大絶賛!!』の文字が。このポップ、非常によくできていますね。良い宣伝文句であるだけでなく、それぞれの書店にいる店員もみんなこれを読んでいるかのように錯覚させてくれる。みんなこの本のすばらしさを知っています、お客さんの仲間です、だから恥ずかしがることなんかありません、さあ、躊躇せずに手に取ってレジへ!ってことでしょ。これによってだいぶ買いやすくなる。素晴らしい心配りだ。

 

いくつかの『ちんぽ』を手に取って見比べ、きれいな『ちんぽ』を選んだ。自分が買う本に対してだけは異常なほど潔癖症であるので、少しの傷もないきれいな本じゃないと買いたくないのだ。

書店には2つのレジがあって、それぞれお兄さんとおばさんがいた。この本は素晴らしい本なのだから、恥ずかしがることなく堂々とレジに向かい、バーンと出すべきだとずっと思っていた。しかし、私はもそもそとレジ近くの本を立ち読みするふりをして、おばさんの方が空くのを見計らいレジに向かった。自分が情けない。完全なる敗北である。いくらお兄さんが割と好みのタイプだったからといって、何をためらっていたのだろう。これでは、『ちんぽ』の本とこだまさんに申し訳ないではないか。自分の小ささにほとほと嫌気がさした。

 

帰りの電車の中で買ったばかりの『ちんぽ』を取り出す。できたばかりの本の表紙は少し粉っぽくてざらざらしていた。普段、図書館で借りた手垢にまみれた本ばかり読んでいるので、この本を読むのは私が初めてだということがなんだか嬉しかった。誰の手にも触れていない新品ピカピカの本である。

 

何度も何度も目にしてきた冒頭の文。何度も何度も公式サイトで読んだ試し読み部分。ここを読んだ時、ああ、とうとう発売されたんだな…としみじみ思った。ずっと気になっていたこの続きが読めるんだと思うと、むしろ惜しくなって読むのをやめようかとさえ思う。

 

松尾スズキさんは「一気に読んだ。一日で読んだ。」そうだ。

私は一文一文、一文字一文字をかみしめて読みたいと思う。